撮影雑記(8)2015/0528〜0531
text 青池 憲司
Photo YAMADA Takenori
Post 2015.11.27
5月28日。第14次ロケ。2か月ぶりの石巻入りです。この日は、海岸線の防潮堤や原野の様子を撮影。日和大橋の上から見渡しても、以前とそれほど大きな変化はわかりづらいのですが、仮設道路などの工事が大分進んでいます。工事状況をこまかく見ていきます。
29日。門脇町2丁目で進む宅地の盛土造成を撮影後、原野の一画に出現した湧水池に棲息するメダカなどの生きものを撮影。湧水池ができ雑草が生い茂る現状は、戦後この地域が住宅地になる以前の状態に近い、と地元の古老はいいます。
30日。まねきコミュニティ3家の菜園を再訪。遠藤菜園には、じゃがいも、ほうれん草、ブルーベリーなどが生り、玉ねぎの収穫作業のかたわら、佳子さんから区画整理による土地減歩の話を聞きました。和田菜園では、ジャーマンアイリス(元の庭にあったものが震災後に再生した)と芍薬(同)が見られ、佳子さんが将来の庭園構想を語りました。
阿部規子菜園では、きゅうりの種蒔き、草取り、水遣り、わらび採りなどの作業がありました。みなさん、非常時の食糧の足しになればと、震災後に家庭菜園をはじめたそうですが、もちろん日常食として食卓に上っています。さっそく、夜の懇親会で、撮影時に収穫されたわらびや、サヤエンドウを、わたしたちもいただきました。
31日。門脇・南浜地区行方不明者の一斉捜索が行われました。門脇町3〜5丁目と南浜町全域(約32ヘクタール)で、消防団員など約200人の捜索隊が大規模ローラー作戦を展開しました。南浜町は、戦後宅地化された住宅密集地でしたが、津波で完全に水没し、非可住地域に指定され、全域が復興祈念公園になることが決定しています。しかし、いまだ147名の方が行方不明のままです。
遺族の強い要望で祈念公園の造園まえに今回の一斉捜索となりました。わたしたちは、夫人が行方不明の荻原哲朗さんに、かつて住いがあった南浜町4丁目で話をうかがいつつ一斉捜索の状況を撮影しました。南浜町全域と門脇町の一部が捜索範囲と広報されていましたが、荻原さんのお宅跡に捜索隊がくることはありませんでした。
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