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撮影雑記(20)2016/0402〜0406

text & Photos   青池 憲司    Post   2016.10.6

第24次撮影行。遠藤佳子さんの菜園を撮る。じゃがいもの種芋を植えながらの世間話がたのしい。門脇町2丁目の自治会「友和会」の総会とこれまでありがとう会=解散式が開かれた。かつて多くを数えた世帯数は、震災後6世帯に減ってしまった。それでも、町内会は存続させてきたが、5年の歳月が経ち、ことし6月の、門脇町2丁目から5丁目を統合する「かどのわき町内会」の発足をまえにしての解散となった。総会には、22世帯34人の現・元住民さんが参加した。解散とそれにともなう残余財産の処分についての議案がそれぞれ承認された。つづいて「これまでありがとう会」になり歓談の環がひろがった。かつての町内の祭(自力権現祭)では定番だった踊りも披露され、華やいだお別れ会となった。この地に残る人よりも、去る人、去らざるをえない人のほうが多い。さまざまに交わされたことばのなかで「ここのことは忘れないが、みんな行った先の人になろう」という声が印象に残った。

のちに青池組のFacebookへ投稿されたKMさんは、「この古里が好きで6年後ぐらいに戻りたいと思っています。しかし頻繁に起こりそうなゲリラ豪雨を想定しますと、海、川の堤防に囲まれプール状にならないか心配です。自然排水と雨水ポンプが頼りとなりますが、一つでも多く安心材料が整っていくことを望みます。繰り返す災害大国日本、どこに住んでも本当の安心なんて見当たりませんね。歴史と経験から安心を増やし豊かな自治会になることを願います」とコメントしている。

地震と津波から5年と1か月の日日がすぎ、門脇・南浜・雲雀野地区の震後を記録するわたしたちの撮影は3年目に入った。丸2年の間、この地のコミュニティを、人の語りと集団の活動で捉えてきた。風景の移り変わりをロングショットとクローズアップで撮ってきた。その基本姿勢はこれからも変らない。

添付写真のロングショットでは葦原とその奥に旧門脇小学校が見えるが、葦原に分け入ると、美容院の表示パネルや、作業員のワスレモノか長靴が干してある。(以前、新品同様、明らかに棄てたばかりのラックを見つけて拾ってかえり宿舎で重宝している)。

原野のランドマーク的な存在の善海田稲荷の二本松。住民さんもわたしたちも早晩枯死するのではないかと案じているのだが、その根方から新しいイノチが育ちはじめた。

宮城県石巻市
原野状態の南浜地区から見た旧門脇小学校校舎
宮城県石巻市
かつてここに街区があった
宮城県石巻市
原野のなかで
宮城県石巻市
善海田稲荷社
宮城県石巻市
古木と新芽
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