新作紹介
Introduction
長編ドキュメンタリー映画
『まだ見ぬまちへ〜石巻・小さなコミュニティの物語〜』
新しい映画の製作をはじめます。
「4年目からの記録」
文:青池 憲司(監督)
被災地石巻がこれからどのように再生復興していくのかを主題にした、新しい映画の製作をはじめます。わたしにとっての石巻とは、まずは門脇・南浜地区とそこに住む住民さんのことにほかなりません。いまの住民さん(23世帯、60人、小2から82歳)と、今後かえってくる予定の、あるいは新たに住民となる人たちが、どんなコミュニティをつくるのか、そのプロセスを記録したいと考えています。
そこには、これまでの3年間とはまた異なる困難があることは言を待ちません。4年目からの記録も大事だと考えます。新作の撮影対象は主に、門脇・南浜地区ですが、中央1丁目〜2丁目(中心市街地)のまちづくり活動なども視野に入れたいと考えています。長期の仕事になるでしょう。
2014年3月9日から新作の撮影をはじめましたが、これはもう記録表現者の業というか、わたしにとっての石巻ドキュメンタリーはまだ終っていないというほかありません。製作主体は、わたしを軸としたグループの自主製作。撮影スタッフは、一之瀬正史キャメラマン、村本勝編集者、山田武典キャメラマンほかのメンバーで、撮影は、これまでホボ毎月3日〜7日のペースで進行しています。
門脇・南浜地区は津波のあとの惨状がかたづいたとはいえ、放置された状態が長くつづいていました。『3月11日を生きて』や『津波のあとの時間割』にあった風景が、"キレイ"になっただけで(それはそれでたいへんなことですが)、新しい建造物はなにもありません。
一面の草叢と湿地群は原野と呼ぶにふさわしい景観です。その原野が、コミュニティに変容していくプロセスを見つめるのが、新作映画の主題といえます。