撮影雑記(21)2016/0418〜0420
text & Photos 青池 憲司 Post 2016.11.7
第25次撮影行。原野(南浜町)の何か所かに工事の資材置場があって、その敷地内に鯉幟が立ち、鯉がきもちよさそうに原野の風に吹かれている。
新門脇地区では、区画整理事業が進行し、宅地の嵩上げ(盛土)と基盤整備、上下水道・ガスなどの設備や周辺道路の工事が終り、UR都市再生機構から地権者への「宅地引き渡し」がはじまった。地権者とURの職員が現地で落ち合って、敷地の状態の見分と書面による確認を行い、これ以降、土地の使い方は地権者の自由裁量となる。しかし、確定したこの地にふたたび家を建てるかどうかを決めかねている人が多いと聞いた。
これまで何度も書いてきたことだが、いま撮影している門脇町・南浜町・雲雀野町地区の震災前の世帯数と人口は、門脇町2丁目〜5丁目が691世帯1737人、南浜町1丁目〜4丁目が1063世帯2634人、雲雀野町1丁目が18世帯52人、合計1772世帯4423人であった。震災で356人が犠牲になり、142人が行方不明(15年11月29日時点)である。そしていま、この地区は世帯数27、人口60数人で、5年余の間に若干の人の出入りはあったものの、被災直後とほとんど変っていない。27世帯の現住民はもともと門脇町2丁目から5丁目に住んでいた人たちで、震災後は町内会の代りに「まねきコミュティ」という親睦グループを結成して幾多の困難を乗り越えてきた。その「まねきコミュニティ」から新しい自治会「かどのわき町内会」への発足式が6月に予定されている。果たして、人はもどるのか? 世帯はふえるのか?被災から5年余がすぎて、やっと、コミュニティづくりの次のステップがはじまるが、そのかたちはなかなか見えてこない。
「新門脇地区復興街づくり協議会」の第38回会合。この協議会ができたのは、2012年、震災の次の年の2月だった。まだ「門小映画2部作」の撮影中だったわたしたちは、地域の活動としてその第1回から7月までの数回を撮らせていただいた。新作の撮影に入った2014年春以降も会議を度々記録してきた。さまざまな問題があり、その都度の議論があり、その積み重ねが地域の「いま」をつくっている。きょうの議題は旧門脇小校舎について。校舎を震災遺構として保存するか解体撤去するか? 協議会は一貫して解体撤去を要望してきたが、市は態度をはっきりさせず、保存・解体・一部保存・一部を南浜復興祈念公園へ移築などの、堂々巡りがつづいている。近々予定されている市長と住民の意見交換会を前にして、協議会は解体撤去を要望しつつ、市の新たな出方を見るとの意向を決めた。
「まねきコミュニティ」総会。2015年度の活動報告と16年度の行事・催しなどの議案、新役員がそれぞれ承認された。今年度のいちばんの課題は新町内会についてである。新たな自治会の立ち上げは6月に予定されている。みなさんそれぞれに思いとイメージを喋り合った。10月末に入居が始まる復興公営住宅東街区自治会との関係をどうつくるか、同敷地内に建てられる集会所の管理方をどうするか、総会終了後の懇親会でも酒が入ればなおさらに話は盛り上がった。いやいや、それにしても、ここの人たちは女も男もよく喋る。お喋りが活気の素である。
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